個人山行

個人山行  南アルプス 塩見岳~間ノ岳~北岳縦走

個人山行  南アルプス 塩見岳~間ノ岳~北岳縦走

◎日 程・2023年7月24日(月)~28日(金)

◎参加者・3名

◎コース・
7/24:バスタ新宿12:05―中央道 松川IC 16:00/16:05(タクシー)―16:10 伊那大島 民宿 福美荘(泊)
7/25:伊那大島駅6:45(伊那バス 鳥倉線)―鳥倉登山口8:35/50…豊口山間のコル9:50/55…塩川ルート分岐11:10/15…三伏峠11:45/12:05…本谷山13:25/30…2513m地点14:05/15…塩見小屋15:20(泊)
7/26:塩見小屋5:50…塩見岳(西峰)7:10/15…塩見岳(東峰)7:20/40…北俣岳分岐8:20/25…キャンプ場跡地9:40/10:10…北荒川岳10:25/30…新蛇抜山11:30/35…安倍荒倉山12:40/50…熊の平小屋13:20(泊)
7/27:熊の平小屋4:35…三国平5:25/30…2850m地点5:45/6:00…三峰岳6:45/55…間ノ岳8:00/20…中白根山9:25/35…北岳山荘10:00/25…吊尾根分岐11:25/35…北岳11:55/12:15…北岳肩の小屋12:45(泊)
7/28:北岳肩の小屋5:40…小太郎尾根分岐6:05/15…2450m地点7:00/10…白根御池7:35/45…白根御池小屋分岐9:15/20…広河原9:45/10:00-芦安(入浴・食事)11:00/13:00-甲府駅13:55(解散) 

7/25(晴れのち曇り)
鳥倉登山口行のバスは20人乗り程度の小さな車両で、標高1781mの登山口まで一気に連れて行ってくれる。乗用車、タクシーは越路ゲートまでしか入れず、登山口まで約50分の車道歩きとなる。この日の乗客は伊那大島から単独行3名と我々3名、途中乗車の3名を加えて合計9名。登山口から三伏峠までは標高差800m、樹林帯の中の単調な登りが続く。スタート時点では涼しく感じたが、たっぷり汗をかいて三伏峠に到着した。三伏峠から約15分の三伏山でようやく塩見岳が姿を現すが、まだまだ先が長い。一旦下り、本谷山を登り返した後、小さなアップダウンを繰り返し、権右衛門沢源頭からの200mのきつい登りをクリア-してようやく塩見小屋に到着した。到着時点では曇っていたが、日暮れ近くなって青空をバックにした塩見岳が現れ、明日への期待を大いに膨らませてくれた。

7/26(晴れのち曇り)
出発時は曇っていた空が天狗岩の岩場に差しかかった頃にはスッキリ晴れ、塩見岳山頂では360°の大パノラマ。南アルプス、中央アルプスの山々、薄っすらと大きな富士山、遠く乗鞍岳、槍ケ岳・穂高などの北アルプスの稜線まで望むことが出来た。西峰、東峰に別れて互いに写真を撮り合い、大満足で本日の宿泊地である熊の平小屋に向けて下山を開始した。北俣岳分岐からの急なガレ場を注意して下り、北荒川岳手前のキャンプ場跡地で長い休憩を取った。この周辺は草地の中にダケカンバとタカネコウリンカの大群生がみられる天国のような場所だ。なだらかな稜線の北荒川岳、竜尾見晴の岩場を通過すると樹林帯に入り、1時間余りで熊の平小屋に到着した。ここは大井川の源流部にあり、良質で豊富な水が得られる場所だ。こぢんまりとしているが雰囲気の良い小屋なのだが、この日の受け入れ可能人数は8名。予約を取るのに苦労した理由が分かった。

7/27(晴れのち曇りのち雨)
小屋番の小南さんから午後から雨になるとの情報を得、日の出直後の冷たい空気の中を歩き始めた。すぐに樹林帯を抜け、三峰岳(みぶだけ)直下まで続く砂礫の台地に入る。三国平まで登ると、農鳥小屋に続くトラバースルート、その先の西農鳥岳、農鳥岳が雄大な姿を現した。三峰岳直下で簡単な朝食を取り、やせた岩稜の三峰岳を少し下ると、仙丈ケ岳に続く仙塩尾根への分岐の道標が現れた。仙丈ケ岳へはコースタイム7時間50分となかなか遠い。ここまで来ると間ノ岳までは1時間、山頂にいる人もはっきり見える。暫くすると、雲が上がり始め、山頂に到着した頃にはすっかり雲の中に入ってしまった。塩見岳からは殆ど人に会うことがなかったが、さすがに人気の山、広い山頂には20人ほどの登山者がいた。暫く待ったが、雲が晴れないので、昨日は農鳥小屋に泊まったという人懐っこい6歳の少年も交えて記念写真を撮り、北岳に向かう。1,2,3を見ながらの標高3000mの稜線歩きを楽しみにしていたが、東側(広河原側)から絶えず雲が上がり富士山はもちろん、北岳すらも姿が見えない。間ノ岳から300m下った北岳山荘で長い休憩を取り、最後の登りに備える。北岳山頂に向かう登山道周辺には沢山の花が咲き、花を楽しみながら歩ける道だが、一方で、北岳山荘、間ノ岳に向かう人も多く、すれ違いに神経を使う。北岳山頂では雲が晴れるのを期待して20分ほど留まったが、ポツリと来たので諦めて下山を開始し、13時前に改築を終え真新しい肩の小屋に到着。暫く休憩し、生ビールで喉を潤しいていると雨が降り始め夕方まで続いた。早出したおかげで雨に降らずに一日を終えられた。

7/28(晴れ)
夜半に目が覚め、外に出たときは満天の星空が見えた。最終日も期待した通りの快晴となった。この山行中、ずっと見続けていた仙丈ケ岳、甲斐駒ヶ岳に別れを告げて、肩の小屋を出発。草すべり周辺は花がいっぱいで長い下りも苦にならない。小屋を早く出たおかげで白根御池小屋には予定より早く到着し、ちょっと急げば1本前のバスに乗車出来そうな見込みとなった。ただ、この日は登山者が押し寄せ、大人しくしていると下りる順番が回ってこない。下山後出会った8歳の少女の話では白根御池小屋からの下山で出会った登山者は300人を超えていたそうだ。それでも、大樺沢との分岐が近づくと人の波も途切れ、広河原にはバス発車時刻の15分前に到着、芦安でゆっくり入浴・食事をして帰路についた。

今回の山行は数年前から温めていたもので、ようやく実現することが出来た。何より天候に恵まれ、4日間、雨具を一度も使わずに絶景を見ながらの稜線歩きを楽しめたのは幸運だった。このルートは南アルプスの奥深いところに入っていくため、日程も長くなってしまったが、前泊も含めると5日間も行動を共にしてくれた同行のお二人に感謝して報告を終える。 (記 E.Y)

~「 食&WCレポ 」~
「食」:富士山に次ぐ、高い山への歩きに備え、前泊は元保健師が「健康にこだわった食事」を提供してくれる民宿にお世話になる。一品一品にオーナーの思いが込められ、口にしながら質問攻めにしてしまった。名産品の信州サーモンの刺身には「クロモジ」の葉が数枚添えられている。クロモジには殺菌作用があり、葉の香りは抗菌作用もある。カツオに生姜ではないが、『意味がある和食』がここにもある。キュウリの塩もみも『酒粕』と合わせると美味!! 書き切れない程の体に良いものを食べたお陰で塩見岳迄の急登も何とかクリアーする。 
二泊目の塩見小屋では『お子様ランチ』の様なプレートに色味も様々な副菜があり、私達の口の中へ飛び込もうとしている。デザートはコーヒームース?ゼリー?謎だがツルンとしたものが喉の奥へ落ちていく。
三泊目は楽しみにしていた小屋番の『特製ミネストローネ』。疲れた体にはスープ状の食事が摂り易いであろうとの考えからすりつぶした大豆やトマト他の野菜を時間をかけ、じっくり煮込んである。自然な野菜の甘さが何とも言えず、ホッとさせてくれる。飲めない私も赤ワインに手が伸びる。お弁当には会津の郷土料理でもある「笹ちまき」(きな粉を付ける)とおにぎり(シラスと山椒の佃煮・ハチミツ梅干)+鹿肉のウィンナー。滅多に食べられないものばかりだ。
最後の山小屋、北岳肩の小屋ではおなじみ「肩つながり」の豚肩ロースステーキ。トマト味のひよこ豆が肉の上に鎮座している。酸味がプラスされ、見た目よりもあっさりしている。2枚じゃ足りない、もう1枚食べたかったな。
山小屋の食事と言うとカレーやハンバーグが定番だが、今回は違う。各小屋の個性光るご馳走のお陰で毎日元気に歩けた。
「WC」:食事同様にトイレ事情もかなり改善されている。一番快適だったのが塩見小屋の『携帯トイレ』。用を足す時は出入り口に用意されている携帯トイレを使用する(宿泊者は無料)『携帯トイレブース』は畳半畳位のスペースにイスが置かれているだけ。用を済ませた後は携帯トイレの口を縛り、ブース外にある大きな排泄物入れにポン!するので臭い無し。清潔面でも二重丸。また、変わった所では熊の平小屋の『ジョーロ、バケツで水を流して下さい』だ。小屋よりも一段下にある為、サンダルでは濡れた階段や、夜中のトイレ行で足元が危うい。長靴が用意されていることに感謝!! 便器は和式、下を覗くとトイレ横の沢の水が流れていそう? 排泄後は自然に流れているの? 不明だ。聞いてみれば良かったかな。最後の北岳肩の小屋は改築されたこともあり、各所使い勝手が良い。トイレの数も多く、利用する人達への配慮が感じられる。コロナ禍もあり、山小屋泊は久しぶり。こんなに快適になっているのだと大満足。計画してくれたリーダー、共に歩いてくれたメンバーに感謝。
「おまけ」:熊の平小屋に着くまでは行き交う人も殆どなく、『どこでもトイレ』状態。お腹の調子に合わせ、我慢することなく、青空の絶景の下でできる解放感も良かったな。  (記  K.E)

三伏峠に向かう登山道
三伏峠 まだまだ余裕!
塩見岳(塩見小屋より)
塩見小屋にて
塩見岳(西峰から東峰)
北俣岳分岐付近からの塩見岳
北荒川岳付近
北荒川岳のリーダー
ミヤマミミナグサと塩見岳
三峰岳への登り
三峰岳山頂
仙塩尾根分岐(遠く仙丈ケ岳)
間ノ岳への最後の登り
間ノ岳山頂
稜線上からの間ノ岳
北岳山荘とその先の稜線
北岳山頂付近を望む
間ノ岳を振り返る
北岳山頂にて 視界なし💦
夕暮れの甲斐駒
仙丈ケ岳
下山道からの北岳
無事下山
シコタンソウ
シコタンハコベ
タカネコウリンカ 準絶滅危惧種

 

ミヤマムラサキ
ムカゴトラノオ
イブキジャコウソウ
グンナイフウロ
コゴメグサ