《個人山行》 南房総五山 経塚山~御殿山~鷹取山~宝篋印塔山~大日山
日 程・2017年1月24日(火)晴れ
参加者・4名
コース・千葉駅5:46-岩井駅7:42/7:45(タクシー)-川谷(珠原橋)8:10/8:15…かくれみの大木8:55…経塚山9:40/50
…蛙岩10:00…経塚山10:10…犬切10:40…安房中央ダム(鍛冶隧道前)10:50/11:20…隠れ屋敷典膳前11:50…御殿
山12:45/13:10…鷹取山13:30…宝篋印塔山14:00/14:10…大日山14:20/25…坊滝14:40/50…増間ダム入口駐車場
15:30-岩井駅16:00(解散)
大日山にて
■「経塚山」は「房総のやまあるき(内田栄一)」では「マテバシイの幽すい境、南房総の秘峰」として紹介されており
、いつか訪れたいと思っていたが、歩程3時間半、アクセスも悪いのでそのままにしていた。
広域の地図をみていたら、R410を挟んで御殿山と相対しているのが分かり、「御殿山」から稜線伝いに、未踏破の山
「宝篋印塔山や大日山」にも行けることもわかったので計画を具体化した。
問題は「経塚山縦走コース」と「御殿山の南からの登山道」の信頼性だ。御殿山の南からの道も「房総のやまあるき」で
は不寝見川バス停から大台山を経て御前山に登った後の下山コースとして紹介されているが、信頼性は明らかではない。
内田氏の本に限らず、房総の低名山も歩く人の少ない登山路は数年でヤブ化、道形が消え、生い茂った雑木や小枝に行く
手を阻まれるので途中撤退ケース(残り時間と戻り道)を念頭において計画しないと時間切れビバークの心配がある。
大寒のシーズンは南房総と言えビバークは危険なので、絶対に避けなければならない。午前中に経塚山を制覇、その後御
殿山に向かい御殿山で昼食、その後、大日山に向かうことを基本プランとした。経塚山でてこづっても、何とか御殿山に
登り、御殿山到着が14時を過ぎたら、下山道の分かりやすい山田中バス停に下りることをエスケープルートとした。
経塚山山頂
■経塚山登山口にもっとも近いバス停の川谷には館山からバスがあるが、館山行きの一番電車に乗っても、川谷着は9:20
となる。順調に歩けても下山予定の増間ダム入口駐車場到着は 16:30になるので、岩井駅からタクシーで川谷にタクシー
で向かった。
R410の経塚山登山口に近い路端に止めてもらい、8:15から歩きはじめた。一点の雲の無い青空を背景に経塚山が堂々とし
た姿を見せていた。
周りの田畑には薄く霜が下りており、所々にある穴のあいたビニールハウスを横目に石堂原の村道を登山口の方向に向か
って歩いた。登山口には「石堂原登山口」の道票がある筈だが、途中には全く案内標識は無い。
道なりに舗装路を歩いたがそれらしいところが無いまま、次第に道が消えヤブに突入した。 GPSで見ても目印の用水池は
かなり離れてしまったが、向かっている方向は登山道の尾根の方向、20~30mも歩けば尾根に到達する筈との読みで無理
やり突き進んだら、枯れ葉は堆積しているものの、しっかりした幅広の山道に出、まずは迷走を免れた。
帰宅後内田氏の本を見ると、正しい道でもヤブがあり、それをくぐって行くと庚申塔があると書かれているので大差は無
かったのかもしれない。我々は庚申塔より上に出ていた。後は山頂まで順調、予定より早めに山頂に到着した。
山頂は東西の樹林が切り払われ、東は鴨川の向こうに広がる太平洋。西北には伊予ヶ岳が威容を誇り、富山の双耳峰が優
美な曲線を描き、快晴なので東京湾の向こうまで雄大な景色が広がっていた。暫く景色を楽しんだ後、予定外の「アンゴ
岩(蛙岩)」を20分かけて往復した後、犬切地区に下山した。
アップダウンの殆どない急な下りが続き、快適に下山できたが、眼下に犬切地区が見え始めた頃から倒木、枯れ葉の山積
した怪しげな道に踏み込んだが、やがて正しい山道に戻り、犬切地区に下山した。
経塚山
■ここからは、御殿山登山口のある御子神林道入口まで、安房中央ダムに沿って南下する。東側の道は国道R410を歩
くが、車の往来が多く、危険な長いトンネル歩きもあるので、ダムの反対側をう回し、国道歩きの短いルートで御子神林
道入口に向かった。目標の半分を予定より早く達成できたので、ダム側道の日だまりで長めの休憩をとった。
ダムは完全に干上がっていた。田植えのシーズンまでに水を貯める灌漑用のダムと思われる。このあと御子神林道入口付
近にある筈の「徳川秀忠の指南役だった剣豪小野次郎右衛門(御小神典膳善忠明)記念公園」に立ち寄る予定だったが、
案内板もなく、かなり林道を進んでから、行き過ぎたことに気づき少し戻ったが、時間ロスを避け途中で断念、御小神典
膳のいわれに詳しいKさんが残念がった。
やがてうす暗い林道の終点に到着した。御子神林道入口から所々に「御殿山ハイキングコース」の案内板があった。か
っては歩く人もいたようだが、林道終点の御殿山を示す木板は朽ち果てていたが、矢の方向ははっきりしていた。
山頂まで高度差200m、荒れた道を少し下り、沢筋に沿い、足の置き場がやっとの山腹の狭い道を登って行った。テープな
どの標識は全くないが、道筋はほぼ明瞭、沢筋から尾根筋に変わったところで木段が出てきた。かなり昔に設置されたと
思える古くさい丸太でできた急な木段を営々と登った末、御殿山~鷹取山間の稜線に上りつめた。
御殿山には 12:45到着、下の登山口で予想した時間より10分程度早く到着した。山頂の東屋には昼食を終え、下山の準備
をしているシニヤグループがいた。我々が下山地に予定している増間ダム駐車場に車を置いてのピストンとのこと、横浜
方面からの登山者だった。
ここで本格的な昼食タイム、日射しも良く、風も無い山頂でゆっくり展望を楽しんだ後、横浜からの下山グループを追
い大日山を目指した。次のピークの鷹取山までは約20分、急な木段を 30mほど下り、登って到着。樹林で囲まれ展望は
無いが、静かな山頂に古い石碑が建っていた。かろうじて「水」の文字だけが読み取れた。
■鷹取山から大日山に向かう道は立派なハイキングコースだが、宝篋印塔山まではやせ尾根、急坂のアップダウンが何回
も出てきた。途中から東側の斜面の下に畑地区から鷹取山に向かう林道が見え、間もなく宝篋印塔山に着いた。
展望は無いが古びた石塔があった。これが山名由来の宝篋印塔らしい。高位の仏僧の供養塔で梵字で呪文のようなものが
刻まれているらしいが、風化で全く読めない。後日調べている内に「大峰奥駈道」でも立派な五輪の宝篋印塔が建ってい
たのを思い出した。全国各地にあり、重要文化財に指定されているものもかなりあるが、ここの石塔は完全に世間から忘
れられた存在だ。
ここから途中、昭和16年に訓練中に墜落、殉職した旧海軍航空隊員の慰霊碑に立ち寄り、10分程歩いて大日山に着
いた。ここも素晴らしい展望が南西に広がっており、眼下には館山湾、伊豆半島の方向には大島、利島がくっきり、新島
、神津島もうっすら見えた。山頂には石碑や石積みがあり、大日如来が安置されていた。
周囲は擬木の柵で囲まれ、陽光の下で水仙が花を咲かせていた。一服の後、下山に着いた。下山路は二つあるが、時間に
余裕もあるので、増間七滝のひとつ「坊滝」を訪ねた。林道から階段を下りた所に観望台があった。幅10m位、落差3
3mの岸壁に沿って細い水流が流れ落ちていた。雨の後なら見ごたえのある滝に違いないと思われた。
予定通り15時半に増間ダム入口駐車場に到着、待機しているタクシーで岩井駅に戻った。気温が下がる予報だったが、終
日快晴、無風で寒さを感じない南房総ののどかな一日に「南房総5山」を快適に巡ることができた。 (記 YK)
坊滝