ある程度眺望が得られるポイントまで歩を進めると、遠方にある山々が気になりだします。こんな時に山座同定のやり方を知っておくと便利です。しかし、山座同定について登山雑誌や登山に関係する技術本などの解説を見ても、すんなりと頭に入ってきません。私の理解力不足によるのか、それとも解説・説明が地図読み初心者目線に立っていないことによるのか、あるいはこれら両方によるのかもしれません。
そこでちょっとだけ今回は、「5分間でわかる山座同定の方法」について述べてみます。
☞ 先ず、地図を正置する
さて、今日は眺望の良い筑波山の女体山(877m)に歩を進めてきました。山頂からは霞ヶ浦が見えます。眼を南南東方角に向けると、山頂に鉄塔(電波塔)がある山が見えます。早速、この山を同定してみましょう。
先ず、地図とコンパスを取り出して、いつものように地図を「正置」します。あらかじめ地図には磁北線を引いておきます。正置は、本誌1月号において既に述べたように、地図をグルグル回し、磁北線の北方向(赤実線➝)がコンパスの赤い磁針と同じ方向を向くようにセットします。山座同定ではコンパスの中心を現在地にセットします(図1)。ここでは、コンパスの中心は女体山の山頂とします。
☞ 次に、コンパスの回転盤(リング)の底にある赤い矢印を同定したい山に向ける
次に、コンパスの回転盤(リング)を回転し、回転盤の底にある赤い幅広の矢印を同定したい山に向けます。それから、回転盤の赤い矢印の「延長線上」にある顕著な山を探して見てください。同定したい山は宝篋山であることが分かります。
納得がいきましたか?眺望の良い場所に出たら、ひとやすみのついでに山座同定をやってみてください。山歩きの楽しみがまた一つ増えたような気分になります。
(記 佐藤拓夫)
(地図は国土地理院から引用し、一部加工。倍率は省略)