山の知識UP

5分間でわかるピークとコル、そして隠れ小ピークについて

ルート上に目印となるものを確認できると、言葉にならない驚きとほんの少し遅れて納得感が得られるものです。9月21日実施のこまくさ登山教室・初級講座(実技)でもそうでした。この日の山行コースは山梨県上野原市の尾続山~コヤシロ山~風の神様~要害山です。

一つは、通称“おっぱい山”についてです。地元では要害山の形状に親しみを込めてこのように呼んでいるそうです。今回、この“おっぱい山”の乳頭部分の正体を確認することができました。その程度のことか、とお叱りを受けそうですが、納得できる目印を確認できました。

もう一つは、コース上の分岐ポイント「コヤシロ山」が、実は典型的な「隠れ小ピーク」だったことです。これほどまでに明らかな隠れ小ピークを確認するのは初めてでした。

そこで、ちょっとだけ今回は「5分間でわかるピークとコル、そして隠れ小ピークについて」を述べてみます。

☞ ピークは尾根の交差点。一つのピークからは原則3本の尾根が発生して

いる。ピークは地形図の等高線が丸くなり輪になっています。つまり、等高線が閉じているわけです。ピークは尾根と尾根とが交わった場所ですので、周囲よりも高くなり、尾根の「交差点」ともいわれています。一つのピークからは原則3本の尾根が発生するともいわれています。

図1は、今回のコースの一部断面図です。図2では、尾続山から歩を進めてきたA地点(実成山:609m)がピークとなっています。等高線が閉じ、尾根が3本(赤矢印)発生しているのがわかります。同様に、西方角(図2の左)のB地点も尾根が3本(赤矢印)発生しているピークとなっています。

 

☞ コル(鞍部)はピークとピークの間の最も低い地点。等高線の輪と輪の間にある。

コルは尾根上にあるピークとピークの間の最も低い地点を指します。A地点からコヤシロ山へはコルを通過します。コルに特徴的なことですが、コルからは枝尾根が発生することはないといわれています。このコルを過ぎると次第に登りになり、立派な道標のあるコヤシロ山に到達します。そこで、コヤシロ山からB地点を見たところ、実は明らかな下りがあり、その先には登り返しがありました。しかし、地形図ではコヤシロ山の等高線は閉じていません(図2)。

 

☞ コヤシロ山は隠れ小ピーク。等高線が閉じていないのに尾根が張り出している。

等高線は、1/25,000の地図では高さ10m間隔で引かれています(主曲線)。また、50mごとに(5本目ごとに)太線で計曲線が引かれています。しかし、10m間隔の等高線が閉じていないのにも関わらず、周囲から見ても明らかに盛り上がり、隠れたピークとして存在しているのが図2のコヤシロ山です。コヤシロ山からは尾根が発生しています(緑矢印)。実際の行程ではアップダウンが存在するということがわかります。(記 佐藤拓夫)